★ボイトレを始める前に~基礎知識その2★★ボイトレを始める前に~基礎知識その2★ のコーナー ★自分の体に関心を持つ★ ☆自分にはどのようなクセ・習慣があるか 今はボイストレーニングに関する本が本当にたくさん出ていますね。私も何冊か持っています。 その中に、必ずと言っていいほど、食べてはいけないもの、などの説明があります。 これも、鵜呑みにすると実は危険です。 何故なら、ボーカリスト(声を使って何かをする人)は自分の体が楽器、個人差(個体差)というものがあるからです。Aさんには当てはまっても、Bさんには当てはまらないことも多くあるのです。 例えば、よく言われている「ノドに良くないもの」をざっと上げてみましょうか。 ・タバコ ・アルコール ・辛いもの ・牛乳等乳製品 ・睡眠不足 ... そのほかにも赤い肉のものはダメとか柑橘類はダメとかまで書いてあるものまであります。 これらをいちいち鵜呑みにしていたら、じゃあ普段何食べればいいの?というくらい、ダメだらけになってしまいます(笑)。 体を作るのは食べたものがもとになるわけですから、バランスのとれた食事も体作りには欠かせないものだと私は思います。 ここで大切なのは、一応ダメだとされている ひとつひとつについて、自分にとってはどうか、を今一度見直してみることです。 私の場合でいうと、声帯が一番ガラガラになるのが睡眠不足の時です。水を多めに摂取したくらいでは間に合いません。 またタバコとアルコールも、声帯の粘膜がカラカラに乾くのが自分でもハッキリ分かります。飲むのは好きなんですけどね(^^;;。 タバコは自分では吸わないのですが、普段も吸っている人の側には近寄らないようにしたりして回避するしかないので、そうしています。それでもミュージシャンはまだまだ喫煙率が高いのか、リハーサルスタジオのロビーやライブハウスの楽屋はタバコ臭くて困っています。(あと、女のコ的には髪の毛にニオイがうつるのが嫌というのもある。タバコ等のニオイをとるヘアスプレーは必需品!) アルコールについては、アルコールが体内で分解される時に体の水分を奪ってしまうために声帯も干からびてしまうので、飲みすぎたりキツイものを飲んでしまったときには必ず、水を多めに取って寝ることで、早くアルコール抜けするようにしています(二日酔い防止にもなりますよ(笑))。 ライブ前日~本番直前までは摂取しない方が私の場合は良いようです。 よく言われる「お酒を飲んでカラオケはよくない」というのは、お酒が体に悪いというより、酔って自分の体の状態を冷静に把握できない状態で、気分も盛り上がりついつい大声で叫んだりノドに負担をかけてしまうのがよくないのですね。 ノドに余計な負担をかけないしゃべり方や歌い方がいついかなる時も出来るのであれば、「お酒を飲んでカラオケ」でもノドは枯れないことになります(笑)。 ノドの強さもかなり個体差があるものなので、声が枯れてしまったときに自分がとっていた行動をじっくり振り返り、把握しておくとよいでしょう。そうすれば「これ以上飲んだり騒いだりはちょっと控えよう」など、ある程度自分でコントロール出来るようになります。 せっかくの晴れ舞台、お客さんの前に立つ日にノドがガラガラ、というのは、単にお客様に対して失礼なだけでなく、何よりも自分の気持ち・テンションが下がってしまって辛いものです。 さて、食べ物の話に戻ります。 私の場合、辛いものや牛乳などは平気です。 ライブ直前は牛乳系は避けたほうが調子いいみたいです。普段は普通に飲んでいます。 カフェインも、どちらかというとノドが乾く気がするので、本番前は飲みません。 辛いものを食べてむせたりもしないので、問題無いようです。 辛いものは確かに刺激物なので苦手な人もいるでしょう。しかし、成分が良くないというより、むせて咳き込むのがよくないのです。 「咳をする」という行為はノドや首の筋肉にかなりの負担をかけるものなので、たとえば風邪を引いた時なども、なるべく咳をしないように我慢してみることも大切です。 このあたりは、体のメンテナンス編として別途まとめる予定です。 さて、ここまでみてきてお分かりのように、要は私は非常にノドが弱い、正確にいうと、刺激物に敏感なノドということになります。 でも、私の周りには、本番直前まで楽屋でタバコをプカプカ吸い続け、本番でかなり素敵なシャウトをかまして全然平気な人や、前日だろうが当日だろうがアルコール飲んでも歌に全く影響ナシ!!な人や、辛いものでむせてしまってノド痛める人や...本当にいろんなタイプがいます。 本当に人それぞれ、ですね。 たまに仲間内で話していて、トレーニングメニューやこういった「よくないもの知識」の披露大会のようになってしまうことがありますが(笑)、くれぐれも鵜呑みはいけません。 実際に自分の体で試していない「単なる知識」を、「こうするといいらしいよ」などと軽々しく言ってしまうのも危険ですよ。それで相手が体やノドを痛めても、あなたには責任が取れないからです。 私の生徒さんには、たとえ親切心からであっても、レッスンで身につけたことを別の場所で誰かに教えたりするのは、控えてもらっています。 さて、自分の弱点が少しずつ把握できてきましたか? でも、たとえノドが弱いからといって、すぐに歌うのをあきらめたり苦手だと思うのは早すぎます。 さっきから書いているように、歌はノドで歌うのではないからです。 現に私は、刺激には弱いノドですが、発声法を訓練したおかげで、6時間リハーサルに入っても、それが何日か短いスパンで入っても、ノドは枯れません。 私は刺激から身を守ってさえいれば、歌い手でいられるのだと自分で分かって生活しています。 あなたは、どうですか。 自分と向き合うことは、表現者としての第一歩でもありますし、何よりも自分の体は自分でメンテナンスできないといけません。 自分の弱点やクセの傾向をつかんで、ライブや講演の当日に最高のコンディションに持っていけるよう、常日頃からケアしておきましょう。 次回は、ノドを痛めたり体調を崩したときのメンテナンスについてお話したいと思います。 (つづく) |